応用情報技術者試験 令和6年春 午前問72 解説付き過去問
問題
IoTの技術として注目されている、エッジコンピューティングの説明として、最も適切なものはどれか。
正解
解説
エッジコンピューティング(Edge Computing)は、IoT環境において、データの処理をクラウド側ではなく、データの発生源に近い場所(エッジ)で行う分散型のコンピューティングアーキテクチャである。これにより、処理の高速化や通信負荷の軽減が実現される。
- エッジコンピューティングの概要
従来のクラウドコンピューティングでは、全てのデータをクラウドに送信して処理を行っていたが、IoTの普及により膨大なデータが発生するようになった。そのため、センサーやデバイスの近くで演算処理を行うことで、リアルタイム性を高めたり、クラウドへの通信量を削減したりする技術が必要となった。これがエッジコンピューティングである。 - 導入の効果
- データの処理を現場近くで行うことにより、ネットワーク遅延の影響を最小限に抑えることができ、リアルタイム性が向上する。
- 通信回線にかかるトラフィックを削減できるため、ネットワークコストや帯域の使用量を抑えることができる。
- セキュリティ面でも、重要なデータをクラウドに送信せずに処理できる利点がある。 - 活用例
- 製造現場での設備の異常検知や稼働監視において、デバイス上でAI処理を行い、異常がある場合だけ通知を送る。
- 自動運転車では、車載センサーで収集した情報をその場で処理し、即座に制御に反映させる。 - 他の技術との違い
- ウェアラブルデバイスによる生体情報の取得は、IoTの一部ではあるが、エッジコンピューティングそのものの説明ではない。
- 複数のコンピュータを結ぶことで全体の処理能力を高める手法は分散コンピューティングであり、主に高性能計算を目的としたものである。
- 環境中のエネルギーを収穫する技術はエナジーハーベスティングと呼ばれ、エネルギー供給手段の一つである。