応用情報技術者試験 令和6年春 午前問70 解説付き過去問
問題
IoT活用におけるデジタルツインの説明はどれか。
正解
解説
デジタルツイン(Digital Twin)は、現実世界に存在するモノやシステムを、デジタル空間上に再現した仮想モデルである。IoT技術を活用して、現実のデータをリアルタイムで取得し、デジタル上に同じ状態を再現することで、効率的な分析やシミュレーションが可能となる。
- デジタルツインの目的
現実世界で得られる多種多様なデータをもとに、デジタル空間に双子(ツイン)のように同じ状態のモデルを作成し、状態の可視化・予測・制御を行うことが目的である。これにより、現実ではコストやリスクが高くて実施できないような検証やシミュレーションが可能になる。 - IoTとの関係
IoTセンサーを通じて取得されるリアルタイムなデータが、デジタルツインの構築と更新に欠かせない。たとえば、製造設備の温度や振動などを常時監視し、仮想空間上で機器の動作を再現することで、異常の予兆検知や最適な保守タイミングの把握が可能となる。 - 活用例
- 製造業では、生産ライン全体をデジタルツイン化し、稼働率や不良率を分析する。
- スマートシティでは、都市の交通・電力・上下水道などを仮想的に再現し、最適なインフラ運用を目指す。
- 自動車産業では、車両の状態を常時把握し、故障予測や安全性評価に活用する。 - 他の概念との違い
- 遠隔地の3Dプリンターへのデータ送信は、物理的な複製手段であり、仮想空間上でのシミュレーションを目的とするデジタルツインとは異なる。
- 正副の二重化構成は、可用性や信頼性の確保を目的とした仕組みであり、仮想再現やシミュレーションを行うものではない。
- ウェアラブルデバイスによる家電操作は、IoTの一部ではあるが、デジタルツインとして仮想世界に再現する仕組みではない。