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応用情報技術者試験 令和6年春 午前問23 解説付き過去問

問題

データセンターなどで採用されているサーバ、ネットワーク機器に対する直流給電の利点として、適切なものはどれか。

正解

解説

データセンターでは、多数のサーバやネットワーク機器が稼働しており、安定した電源供給が重要です。その電源方式として直流給電が注目されている理由の一つに、「電力損失の低減」があります。

  • 直流給電の特徴
    一般的な電力供給は交流(AC)で行われますが、多くのIT機器内部では直流(DC)で動作しているため、AC→DCの変換が必要になります。
    この変換には整流器(AC-DCコンバータ)が使われますが、変換のたびに電力損失(熱など)が発生します。
    また、UPS(無停電電源装置)を使用している場合は、バッテリの直流を交流に変換(DC→AC)し、さらに再度機器内でAC→DC変換する必要があるため、変換回数が増えることで損失も大きくなります。

  • 直流給電による利点
    電力の供給を最初から直流で行うことで、交流から直流への変換が不要になり、機器側での再変換も省略できるため、電力損失を抑えることができます。
    これによりエネルギー効率が向上し、発熱量の低減や冷却負荷の軽減、さらにはトータルの運用コスト削減にもつながります。

  • 他の選択肢との違い
    - 直流電源はそのままの電圧で機器に給電されるわけではなく、必要に応じて降圧・昇圧されるため、すべての機器が同一電圧で動作するわけではありません。
    - 停電リスクがなくなるわけではないため、電源バックアップのためのバッテリやUPSは依然として必要です。
    - トランスによる電圧変換は交流における技術であり、直流ではトランスを使用した昇圧・降圧はできません(スイッチング方式のDC-DCコンバータを使用します)。

このように、直流給電は電力変換のプロセスを簡素化し、電力損失を抑えることでエネルギー効率を向上させる利点があります。