応用情報技術者試験 令和5年春 午前問64 解説付き過去問
問題
システム要件定義プロセスにおいて、トレーサビリティが確保されていることを説明した記述として、適切なものはどれか。
正解
解説
この問題は、システム要件定義における「トレーサビリティ(追跡可能性)」の概念について正しく理解しているかを問うものです。
- トレーサビリティとは
トレーサビリティとは、ソフトウェア開発において、要件・設計・実装・テストなどの各工程における成果物が、それぞれどのような要求に基づいて作成されたか、あるいはどの要求に影響を与えるかを追跡・把握できるようにする仕組みです。
これにより、要求の漏れや過不足を防止し、開発途中や保守段階での変更にも適切に対応することが可能になります。 - トレーサビリティの目的
システム開発では、要件の変更や新たな要求の追加が発生することが多くあります。
その際に、変更がどの設計・実装・テストに影響を与えるのか、あるいはどの品質要件を満たすためのものであったかを追跡できるようにしておくことは、品質維持と効率的な変更対応のために不可欠です。 - 適切な説明の特徴
「利害関係者の要求の根拠と成果物の相互関係が文書化されており、開発の途中で生じる仕様変更をシステムに求められる品質に立ち返って検証できる」という記述は、トレーサビリティの目的と一致します。
文書化されていることで、変更要求が要件のどこに関係し、どのように品質に影響するかを遡って確認できるため、妥当性を検証しながら対応できます。
したがって、システム要件定義プロセスにおけるトレーサビリティを説明する記述として適切なのは、「利害関係者の要求の根拠と成果物の相互関係が文書化されており、開発の途中で生じる仕様変更をシステムに求められる品質に立ち返って検証できる」です。