応用情報技術者試験 令和5年春 午前問54 解説付き過去問
問題
プロジェクトのリスクマネジメントにおける、リスクの特定に使用する技法の一つであるデルファイ法の説明はどれか。
正解
解説
この問題は、プロジェクトのリスクマネジメントにおける「デルファイ法」の特徴と用途について理解しているかを問うものです。デルファイ法は、主観的な判断に頼る必要がある場面において、信頼性の高い合意形成を得るための技法です。
- デルファイ法の概要
デルファイ法は、複数の専門家の意見を匿名で収集・整理し、一定の手続きを繰り返すことで集約していく技法です。
各専門家に対し、最初に質問票(アンケート)形式で意見を求め、回収後に意見を要約・集計して再配布し、再び意見を求めます。
これを数回繰り返すことで、個々の見解が集約され、より妥当な判断が得られるとされています。 - リスク特定への活用
プロジェクトでは、リスクを早期に洗い出すことが重要です。デルファイ法を使うことで、利害関係者や専門家が持つ経験や知識をもとに、個別のバイアスを排除したうえでリスクを網羅的に識別することができます。
匿名性があるため、権威や上下関係に左右されずに意見が出されるのが特長です。 - 他の技法との違い
・ブレーンストーミングは、自由な発想を重視してアイデアを広げる場であり、短時間で多数の意見を出すのに適しています。
・チェックリスト法は、過去の経験に基づいたリスク項目をあらかじめ列挙しておき、それに該当するかを確認する方法です。
・モンテカルロ法などのシミュレーション技法は、リスクの定量的な分析に用いられます。
したがって、デルファイ法は、専門家の見解を複数回の匿名アンケートで収束させていく技法です。