応用情報技術者試験 令和5年春 午前問49 解説付き過去問
問題
日本国特許庁において特許Aを取得した特許権者から、実施許諾を受けることが必要になる場合はどれか。
正解
解説
この問題は、特許権の効力が及ぶ範囲と、実施許諾が必要となるケースについての理解を問うものです。
- 特許権の効力
特許権は、特許庁に登録された発明を独占的に実施できる権利であり、日本国内において、製造・使用・譲渡・輸出入などの行為を排他的に行うことができます。
他人が特許発明を業として実施する場合には、特許権者の許諾(ライセンス)が必要になります。 - 業としての実施
「業として」とは、営利目的かどうかを問わず、反復継続して行うことを意味します。個人的または家庭内での使用は「業」とは見なされず、特許権の効力の範囲外となります。 - 製造して輸出する場合
たとえ製品をすべて国外に輸出する場合でも、日本国内で特許発明を「製造」する行為自体が特許権の侵害に該当します。したがって、特許権者の許諾が必要です。 - 特許の存続期間
特許権の存続期間は、原則として出願日から20年です。25年経過していれば特許権はすでに消滅しており、その技術は公知のものとして自由に利用可能です。 - 先使用権
特許出願の前から独自に開発し、かつ継続して使用していた者には、一定の条件下で「先使用権」が認められ、特許権が成立した後もその使用を継続することができます。
したがって、特許権者の実施許諾が必要になるのは、日本国内で製造を行う場合です。製品をすべて国外に輸出する場合であっても、日本国内での製造行為には特許権の効力が及ぶため、実施許諾が必要になります。