応用情報技術者試験 令和4年秋 午前問79 解説付き過去問
問題
発注者と受注者の間でソフトウェア開発における請負契約を締結した。
ただし、発注者の事業所で作業を実施することになっている。
この場合、指揮命令権と雇用契約に関して、適切なものはどれか。
正解
解説
この問題は、ソフトウェア開発の請負契約における指揮命令権と雇用契約の関係について問うものです。特に、作業場所が発注者の事業所である場合の法的な側面が焦点になっています。
- 指揮命令権の定義
指揮命令権とは、作業の遂行に関して命令や指示を出す権限のことを指します。一般的に、請負契約においては、発注者は受注者に対して成果物を求めることはあっても、具体的な作業プロセス(どのように作業を進めるか)まで指示する権限は通常持ちません。これは、受注者が独立した事業主として作業を行うためです。 - 雇用契約と請負契約の違い
雇用契約と請負契約は、労働者の立場と責任が異なります。雇用契約の下では、労働者は雇用者の指揮命令下で働きますが、請負契約では受注者は特定の成果物を提供することが求められ、その過程での指揮命令権は一般的に受注者にあります。したがって、受注者の従業員が発注者の事業所で作業を行う場合でも、新たな雇用契約を結ぶ必要はありません。 - 作業場所と指揮命令権の関係
作業場所が発注者の事業所であっても、指揮命令権が発注者に移るわけではありません。請負契約の性質上、受注者の従業員は引き続き受注者の指揮命令下で作業を行います。これは、作業場所の選定が作業内容の指揮命令権に影響を与えないためです。
したがって、指揮命令権は発注者になく、受注者に所属する作業者は新たな雇用契約を発注者と結ぶことなく発注者の事業所で作業を実施するのが適切です。これが正解となる根拠です。