応用情報技術者試験 令和6年春 午前問68 解説付き過去問
問題
企業が属する業界の競争状態と収益構造を、"新規参入の脅威"、"供給者の支配力"、"買い手の交渉力"、"代替製品・サービスの脅威"、"既存競合者同士の敵対関係"の要素に分類して、分析するフレームワークはどれか。
正解
解説
ファイブフォース分析(Five Forces Analysis)は、マイケル・ポーターによって提唱された業界構造分析のためのフレームワークであり、業界の競争環境を5つの要因(フォース)に分類して分析することで、その業界における収益性や競争の激しさを評価する手法である。
- ファイブフォースの5つの要素
ファイブフォース分析は、以下の5つの競争要因に着目する。
- 新規参入の脅威
新しい企業が業界に参入しやすいかどうかを示す。参入障壁が低いと競争が激しくなる。 - 供給者の支配力
原材料や部品などを供給する側が価格交渉などにおいてどの程度の力を持っているかを示す。供給者の選択肢が少ない場合、交渉力は強まる。 - 買い手の交渉力
製品やサービスを購入する顧客が、価格や品質についてどれだけ影響力を持っているかを示す。買い手の選択肢が多い場合、交渉力は強まる。 - 代替製品・サービスの脅威
同じニーズを満たす別の製品やサービスが存在する場合、その存在が業界内の企業に与える圧力を示す。 - 既存競合者同士の敵対関係
同じ市場内の企業同士がどれほど激しく競争しているかを示す。価格競争が激しいほど、収益性は低下しやすい。
- 新規参入の脅威
- 問題における適用
設問では「新規参入の脅威」「供給者の支配力」「買い手の交渉力」「代替製品・サービスの脅威」「既存競合者同士の敵対関係」といった5つの要素が提示されており、これはまさにファイブフォース分析で用いられる視点に一致している。これらの要因を分析することで、自社の置かれている業界の収益性や戦略的立ち位置を明確にすることが可能となる。 - 他のフレームワークとの違い
- PEST分析は、政治・経済・社会・技術の4要素によりマクロ環境を分析するものである。
- VRIO分析は、自社の資源や能力が競争優位性を持つかどうかを評価するフレームワークである。
- バリューチェーン分析は、自社の業務プロセスを分解し、どの部分が付加価値を生んでいるかを分析する手法である。