応用情報技術者試験 令和5年春 午前問28 解説付き過去問
問題
データベースシステムの操作の説明のうち、べき等(idempotent)な操作の説明はどれか。
正解
解説
この問題は、データベースシステムにおける「べき等(idempotent)」という概念について問うものです。べき等性は、主にトランザクション処理や分散システムの設計において重要となる性質です。
- べき等(idempotent)の定義
べき等とは、同じ操作を複数回繰り返して実行しても、結果が1回実行したときと変わらない性質を指します。
たとえば「特定の値を列に設定する更新処理」は、何回繰り返しても状態が変化しないためべき等とされます。
この性質は、ネットワーク障害や再試行処理が発生した場合にも、システムの整合性を保つ上で有効です。 - べき等でない操作の例
たとえば「現在の値に1を加える」といった操作は、繰り返し実行するたびに値が変わるため、べき等ではありません。
また、レコードの新規挿入(INSERT)も通常は繰り返しによって重複データが生じるため、べき等ではありません。 - その他の選択肢との違い
「トランザクションの原子性」や「同時実行性制御(直列化可能性)」に関する記述は、べき等とは異なるACID特性の別概念を説明しています。
また、データの複製処理などもべき等性とは無関係です。
したがって、同一の操作を何度繰り返しても結果が変わらないという性質を説明している記述が、べき等な操作に該当します。