応用情報技術者試験 令和5年秋 午前問61 解説付き過去問
問題
バックキャスティングの説明として、適切なものはどれか。
正解
解説
この問題は、思考法・意思決定手法の一つである「バックキャスティング(Backcasting)」について正しく理解しているかを問うものです。
- バックキャスティングとは
バックキャスティングとは、将来における理想的な状態(ありたい姿)をまず設定し、そこから逆算して現在からどのように行動していけばその未来像に到達できるかを考える思考手法です。
未来から現在を見つめ直すという点が特徴で、特に不確実性の高い長期的課題や、持続可能性(サステナビリティ)に関する分野で活用されます。
従来のトレンド予測型(フォアキャスティング)が過去や現在の延長線上に未来を描くのに対し、バックキャスティングでは希望や目標に基づく未来像を出発点とします。 - 具体的な進め方
バックキャスティングでは以下のようなプロセスを経て戦略や計画を立てます。- 実現したい未来像を明確に定義する
- その未来像の実現に必要な要素や条件を洗い出す
- 現在の状況と未来のギャップを把握する
- そのギャップを埋めるための戦略・施策を段階的に検討する
- 実現したい未来像を明確に定義する
- 他の選択肢との違い
- リソース優先型の開発手法に関する記述は「フィーチャードリブン開発」や「アジャイル開発」の一部として見られ、バックキャスティングとは異なります。
- 下位からの発議を重視するマネジメント手法は「ボトムアップ型経営」などの考え方に該当します。
- 過去データによるシミュレーションは「バックテスト」や「バックテスティング」と呼ばれ、投資や金融分野で使われる用語です。
したがって、「前提として認識すべき制約を受け入れた上で未来のありたい姿を描き、予想される課題や可能性を洗い出し解決策を検討することによって、ありたい姿に近づける思考方法」が正しい説明です。