応用情報技術者試験 令和5年秋 午前問8 解説付き過去問
問題
スマートフォンなどで高い処理性能と低消費電力の両立のために、異なる目的に適した複数の種類のコアを搭載したプロセッサはどれか。
正解
解説
この問題は、スマートフォンなどで採用される、高性能と省電力の両立を目的としたプロセッサの設計手法に関する知識を問うものです。
- ヘテロジニアスマルチコアプロセッサの特徴
ヘテロジニアスマルチコアプロセッサ(Heterogeneous Multi-core Processor)は、1つのチップ上に異なる種類のCPUコアを組み合わせて搭載したプロセッサです。「ヘテロジニアス(heterogeneous)」は「異種の」という意味であり、この構成により処理性能と消費電力のバランスを最適化できます。
たとえば、高性能だが電力消費の大きいコアと、省電力だが処理能力の低いコアを併用することで、使用状況に応じて最適なコアに処理を振り分けることができます。
スマートフォンに多く採用されているARMのbig.LITTLE構成(bigコア+LITTLEコア)が代表例です。
- 他の選択肢との違い
・スーパースカラプロセッサ:
命令パイプラインを複数備え、1クロックで複数命令を同時実行することを目的とした構成です。同種のコアが対象であり、コアの異種性とは無関係です。
・ソフトコアプロセッサ:
FPGAなどの再構成可能なハードウェア上に、ソフトウェア的に設計されたCPUコアを実装する仕組みです。機能の柔軟性が高いですが、問題の主旨である省電力・高性能の両立とは直接関係しません。
・ホモジニアスマルチコアプロセッサ:
同じ構成・性能のコアを複数搭載したマルチコアプロセッサです。「ホモジニアス(homogeneous)」は「同種の」という意味であり、デスクトップPCやサーバで一般的です。
したがって、異なる目的に適した複数の種類のコアを組み合わせることで、処理性能と消費電力を最適化するプロセッサは、ヘテロジニアスマルチコアプロセッサです。