応用情報技術者試験 令和4年春 午前問51 解説付き過去問
問題
ある組織では、プロジェクトのスケジュールとコストの管理にアーンドバリューマネジメントを用いている。
期間10日間のプロジェクトの、5日目の終了時点の状況は表のとおりである。
この時点でのコスト効率が今後も続くとしたとき、完成時総コスト見積り(EAC)は何万円か。


正解
解説
この問題は、アーンドバリューマネジメント(Earned Value Management:EVM)の指標を使って、プロジェクトの進捗状況から将来の完成時総コスト見積り(EAC)を計算するものです。EVMは、プロジェクトの進捗とコスト効率を定量的に管理するために使われる代表的な手法です。
- アーンドバリューマネジメントの基本指標
EVMでは、以下の3つの指標を用いてプロジェクトを分析します。- PV(Planned Value):計画通りに進行していれば現時点までにかかっていたはずの予算
- EV(Earned Value):実際に完了した作業に対応する予算上の価値
- AC(Actual Cost):実際にかかったコスト
- 完成時総コスト見積り(EAC)の求め方
完成時総コスト見積り(EAC)は、プロジェクト終了時にかかると予測される総コストで、以下の式で求めます。
EAC = BAC ÷ CPI
ここで、- BAC(Budget at Completion):プロジェクト全体の予算
- CPI(Cost Performance Index):コスト効率指標=EV ÷ AC
EV=40万円、AC=60万円、BAC=100万円 であるため、
CPI=40 ÷ 60 = 23
EAC=100 ÷ 23 = 150万円 - 計算結果の意味
CPIが1未満であるということは、予算に対してコストがかかりすぎている(=非効率)ことを示します。
この傾向がプロジェクトの残り期間でも継続すると仮定した場合、最終的なコストは予定よりも多くなり、EACがBACを上回る結果となります。
したがって、この問題の正解は150万円です。これは現在のコスト効率が今後も続くと仮定して算出される、完成時の総コスト見積りです。