応用情報技術者試験 令和4年秋 午前問13 解説付き過去問
問題
システムの信頼性設計に関する記述のうち、適切なものはどれか。
正解
解説
信頼性の高いシステム設計を達成するためには、さまざまな設計原則が存在しますが、それぞれの定義と目的を理解することが重要です。ここでは、フェールセーフ、フェールソフト、フォールトアボイダンス、フォールトトレランスの四つの概念について説明し、正しい理解を深めます。
- フェールセーフの定義
フェールセーフとは、システムや機器が故障や誤操作によっても、最大限に安全または最小限の損害を保証する設計方法です。例えば、電源が切れた場合にシステムが安全な状態に自動で移行することなどが挙げられます。これにより、システムの異常終了を防ぐ一方で、単純なミスから保護するわけではありません。 - フェールソフトの概念
フェールソフト(またはグレースフルデグラデーション)とは、システムの一部が故障した際に、全体のシステム停止を避けるために、故障部分の機能を縮小または停止させる設計です。このアプローチにより、システムは限定的な機能で稼働を継続できます。故障が発生しても全機能が停止するわけではなく、重要でない機能から順に停止します。 - フォールトアボイダンスの目的
フォールトアボイダンスは、システム設計において、故障を未然に防ぐことに重点を置くアプローチです。これは、システムの各コンポーネントの品質を最初から高めることで、全体の信頼性を向上させることを意味します。この概念は、故障の発生確率を最小化することにフォーカスしています。 - フォールトトレランスの設計手法
フォールトトレランスは、故障が発生してもシステムが機能し続けるように設計された方法です。このアプローチでは、故障が生じた場合に備えて、システムが安全な状態に遷移するか、あるいは影響を最小限に抑えるための冗長性や代替システムが設計されています。つまり、全体としての安全性を維持することが目的です。
以上の解説から、正しい選択は「フォールトアボイダンスとは、システム構成要素の個々の品質を高めて故障が発生しないようにする概念である」という記述です。これは、システムの信頼性を向上させるために、故障を未然に防ぐことを目的としているため、信頼性設計における適切なアプローチと言えます。