応用情報技術者試験 令和3年春 午前問15 解説付き過去問
問題
密結合マルチプロセッサの性能が、1台当たりのプロセッサ性能とプロセッサ数の積に等しくならない要因として、最も適切なものはどれか。
正解
解説
この問題は、密結合マルチプロセッサシステムにおいて、なぜ理論上の総合性能が個々のプロセッサ性能の単純な合計に等しくならないのか、その主な要因を問うものです。
- 密結合マルチプロセッサの特性
密結合マルチプロセッサシステムでは、複数のプロセッサが共通の主記憶を共有しています。この構成により、プロセッサ間でのデータ共有が容易になる一方で、主記憶へのアクセス競合が生じる可能性があります。 - 主記憶へのアクセス競合
複数のプロセッサが同時に主記憶にアクセスしようとすると、アクセス競合が発生します。この競合は、メモリコントローラを介してアクセスの調整が行われるものの、プロセッサがメモリアクセスを待たなければならない時間が増えるため、システム全体の効率が低下します。この現象は、スケーラビリティの限界とも関連しており、マルチプロセッサの理論的最大性能が実際の性能よりも低くなる主要な原因の一つです。 - 他の選択肢の考察
通信回線を介したプロセッサ間通信やプロセッサのディスパッチ処理、割込み処理もマルチプロセッサシステムの性能に影響を与える要素です。しかし、これらは主に疎結合マルチプロセッサシステムや、システムの特定のアーキテクチャに依存する要因であるため、密結合システムにおいて最も顕著な性能低下の原因は、主記憶へのアクセス競合になります。
したがって、密結合マルチプロセッサシステムにおける性能が個々のプロセッサの性能と数の積に等しくならない主要な理由は、主記憶へのアクセス競合によるものです。