応用情報技術者試験 平成30年春 午前問23 解説付き過去問
問題
ワンチップマイコンにおける内部クロック発生器のブロック図を示す。
15MHzの発振器と、内部のPLL1、PLL2及び分周器の組合せでCPUに240MHz、シリアル通信(SIO)に115kHzのクロック信号を供給する場合の分周器の値は幾らか。
ここで、シリアル通信のクロック精度は±5%以内に収まればよいものとする。


正解
解説
この問題は、ワンチップマイコンの内部クロック発生器において、目的の出力クロック(SIO用115kHz)を得るために、分周器がどのような比率に設定されるべきかを問うものです。発振器、PLL、分周器それぞれの役割と周波数変換の流れを正確に理解する必要があります。
- クロック生成の流れ
図から、基本クロック源として15MHzの発振器があり、これがPLL1で8倍(15MHz × 8 = 120MHz)、さらにPLL2で2倍(120MHz × 2 = 240MHz)されてCPUクロックとして利用されていることが読み取れます。
一方、SIO用のクロック信号は、PLL1(出力120MHz)から分周器を経由して得られる構成です。したがって、分周器には120MHzが入力されています。 - 分周比の計算
SIOに供給すべきクロック信号は115kHzであり、これを得るための分周比は以下のように計算されます:
120MHz ÷ 115kHz ≒ 1043.478
この分周比に最も近い2の累乗は、210(=1024)です。
さらに、問題文には「クロック精度は±5%以内に収まればよい」とあるため、多少の誤差が許容されます。実際、
120MHz ÷ 210 = 117.1875kHz であり、115kHzとの差は約+1.9%、許容範囲内です。
したがって、SIOに115kHzのクロック信号を供給するためには、分周比を 1210 に設定するのが適切です。