応用情報技術者試験 令和5年秋 午前問37 解説付き過去問
問題
楕円曲線暗号の特徴はどれか。
正解
解説
この問題は、公開鍵暗号方式の一つである楕円曲線暗号(ECC:Elliptic Curve Cryptography)の特徴として正しいものを選ぶ問題です。以下の手順で解説します。
- 楕円曲線暗号の概要
- 楕円曲線暗号の特徴
- 他の選択肢の誤りについて
- 共通鍵暗号方式ではなく、公開鍵暗号方式である。
- 総当たり攻撃が不可能であると数学的に「証明」されているわけではなく、現時点では解読が困難であるとされているだけである。
- 復号鍵(秘密鍵)は、データを秘匿するためには厳重に管理すべき情報であり、公開してよいものではない。
楕円曲線暗号は、楕円曲線上の点の演算を用いて暗号処理を行う公開鍵暗号方式です。
素因数分解問題や離散対数問題を利用するRSAやDSAと同様に、特定の数学的に困難な問題に基づいて安全性を確保しています。
ECCでは「楕円曲線離散対数問題」が解読困難であることを前提にしています。
楕円曲線暗号の最大の特徴は、短い鍵長で高い安全性を実現できるという点です。
たとえば、RSA暗号で2048ビットの鍵長が必要な安全性と同等のレベルを、ECCでは256ビット程度の鍵長で実現できます。
このため、鍵の生成・管理や演算処理の高速化、省メモリ化が求められるモバイル機器などの環境で特に有効です。
問題に含まれる他の選択肢は、いずれも楕円曲線暗号の特徴として不適切です。
したがって、楕円曲線暗号の特徴として正しいのは、RSA暗号と比べて、短い鍵長で同等の安全性を実現できるという点です。