応用情報技術者試験 令和3年春 午前問2 解説付き過去問
問題
桁落ちによる誤差の説明として、適切なものはどれか。
正解
解説
桁落ちによる誤差は数値計算における重要な問題の一つであり、その理解は正確な計算結果を得るために不可欠です。
- 桁落ち誤差の定義
桁落ち誤差とは、値がほぼ等しい二つの数値を減算した際に起こる誤差です。この操作により、有効桁数が減少するため、計算結果の精度が落ちる現象を指します。 - 誤差の発生メカニズム
例えば、1.000001と1.000002のような数値があるとします。これらの差を計算すると、0.000001の結果が得られます。最初の数値は6桁の有効数字を持っていましたが、差の結果は1桁の有効数字しか持っていません。このように、ほぼ同じ値の減算は多くの有効桁を失うため、大きな誤差が発生する可能性があります。 - 他の誤差タイプとの比較
切捨てや切上げ、四捨五入による誤差は、有効桁数を制限するために意図的に下位桁を除去することによって発生します。また、大きな数値と小さな数値の演算に関する誤差は、小さい数値が無視されることにより発生します。無限級数の計算を有限項で終了させることによる誤差は、計算を早期に打ち切ることで生じる近似誤差です。これらの誤差は桁落ち誤差とは異なる原因と特性を持っています。
したがって、桁落ちによる誤差は、値のほぼ等しい二つの数値の差を求めたときに有効桁数が減ることによって発生します。この誤差の理解は正確な数値計算を行うために非常に重要です。