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合格発表日:2025年7月3日(あと33日)

応用情報技術者試験 令和元年秋 午前問62 解説付き過去問

問題

TCOの算定に当たって、適切なものはどれか。

正解

解説

この問題は、全体コスト所有(TCO; Total Cost of Ownership)の算定において、どのようなコスト要素を考慮すべきかを問うものです。

  1. TCOの定義
    TCOは、製品やシステムの購入から廃棄に至るまでのすべてのコストを総合的に評価する概念です。これには初期購入費用のみならず、運用、メンテナンス、アップグレード、さらには間接的なコストも含まれます。

  2. エンドユーザコンピューティングの運用費用
    選択肢に「エンドユーザコンピューティングにおける利用部門の運用費用は考慮しない」とありますが、これはTCOの算定では不適切です。エンドユーザコンピューティングの運用費用は、システムの日常的な使用に関連するコストであり、TCOには含めるべきです。

  3. システム監査の費用
    「システム監査における監査対象データの収集費用や管理費用は考慮しない」とする選択肢もTCOの考慮には不適切です。監査費用は、システムのセキュリティ維持や規制遵守のために必要なコストであり、これもTCOの一部として考慮されるべきです。

  4. システム障害による将来的損失
    「システム障害の発生などによって、その障害とは直接関係のない仕入先企業が被るおそれがある、将来的な損失額も考慮する」という選択肢は、TCOの算定において検討すべき内容ですが、この問題の正解ではありません。ただし、リスク評価の観点から重要な考慮事項であることは間違いありません。

  5. 埋没原価の考慮
    正解である「利用部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えない費用も考慮する」は、TCOの算定において非常に重要です。これらの費用は直接的ではないものの、組織全体の効率性やコスト効果を正確に理解するためには必要不可欠です。

したがって、TCOの正確な算定には、すべての直接的、間接的なコストを包括的に捉える必要があり、その中でも「利用部門におけるシステム利用に起因する、埋没原価などの見えない費用も考慮する」ことが重要です。