応用情報技術者試験 平成30年秋 午前問37 解説付き過去問
問題
楕円曲線暗号に関する記述のうち、適切なものはどれか。
正解
解説
楕円曲線暗号(Elliptic Curve Cryptography, ECC)について理解するためには、暗号方式の基本的な分類や楕円曲線の特性について知る必要があります。
- 公開鍵暗号と共通鍵暗号の違い
公開鍵暗号方式では、暗号化と復号に異なる鍵が使用されます。これに対して共通鍵暗号方式では、暗号化と復号に同じ鍵が使用されます。楕円曲線暗号は公開鍵暗号の一種で、高度な数学的構造を利用して高いセキュリティを提供しつつ、比較的小さい鍵サイズで効率的な運用が可能です。 - 楕円曲線暗号の利用例
楕円曲線暗号は、安全なデジタル通信を可能にするTLS(Transport Layer Security)プロトコルにおいても利用されています。これにより、インターネットを通じたデータの安全なやり取りが保証されます。また、公開鍵暗号方式として、デジタル署名にも広く用いられており、データの改ざん防止や送信者の認証に役立っています。 - 楕円曲線暗号の安全性の基礎
楕円曲線暗号の安全性は、楕円曲線上の点の加算の困難性に基づいています。これは素因数分解の困難性や離散対数問題の困難性とは異なり、特有の数学的問題に基づいています。そのため、素因数分解問題を利用しているわけではありません。
したがって、正解は「公開鍵暗号方式であり、TLSにも利用されている」という選択肢です。これは楕円曲線暗号が公開鍵暗号の一形態であり、安全な通信プロトコルであるTLSに利用されていることを正確に反映しています。