応用情報技術者試験 平成30年秋 午前問2 解説付き過去問
問題
コンピュータによる伝票処理システムがある。
このシステムは、伝票データをためる待ち行列をもち、M/M/1の待ち行列モデルが適用できるものとする。
平均待ち時間がT秒以上となるのは、処理装置の利用率が少なくとも何%以上となったときか。
ここで、伝票データをためる待ち行列の特徴は次のとおりである。
- 伝票データは、ポアソン分布に従って到着する。
- 伝票データをためる数に制限はない。
- 1件の伝票データの処理時間は、平均T秒の指数分布に従う。
正解
解説
この問題は、M/M/1待ち行列モデルに基づいて、平均待ち時間がT秒以上になるためのシステム利用率(ρ)の下限値を求めるものである。待ち行列理論の基本的な数式を正しく扱えるかが問われている。
- M/M/1モデルの特徴
M/M/1は、到着がポアソン分布、サービス時間が指数分布、待ち行列が1つのサーバを持つモデルである。
このモデルの利用率は、ρ = λμ で定義され、λは到着率、μはサービス率(1件あたりの処理速度の逆数)を表す。
また、平均サービス時間は 1μ に等しく、本問では平均T秒と与えられているため、T = 1μ である。 - 平均待ち時間の公式
M/M/1モデルにおける平均待ち時間Wは、次の式で求められる:
W = ρμ - λ = ρ1 - ρ × 平均サービス時間
これを用いて、「W ≧ T」となる条件を導く。 - 不等式の整理と利用率の算出
平均サービス時間がTであるため、式は以下のように変形される:
ρ1 - ρ × T ≧ T
両辺をTで割ると、ρ1 - ρ ≧ 1
これを解くと、ρ ≧ 0.5
すなわち、利用率が50%以上であれば、平均待ち時間はT秒以上となる。
したがって、平均待ち時間がT秒以上となるのは、処理装置の利用率が少なくとも50%以上となったときである。