応用情報技術者試験 平成31年春 午前問79 解説付き過去問
問題
ソフトウェア開発を下請事業者に委託する場合、下請代金支払遅延等防止法に照らして、禁止されている行為はどれか。
正解
解説
この問題は、ソフトウェア開発の委託において、親事業者が下請事業者に対して行ってはならない行為を「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の観点から正しく理解しているかを問うものである。特に、発注時の書面交付義務に関する規定が焦点となる。
- 下請法の目的と書面交付義務
下請法は、親事業者による不公正な取引行為から下請事業者を保護することを目的としている。
この法律では、親事業者が下請事業者に発注する際、取引条件を記載した書面(発注書など)を交付することが義務付けられている。
この書面には、取引金額、納期、支払期日、仕様などの必要事項を明記しなければならない。 - 仕様確定後の対応と違反の判断
仕様が発注時点で未確定の場合、正当な理由があれば仕様を記載しない状態で書面を交付することは認められている。
ただし、その後仕様が確定した時点では、速やかにその内容を記載した書面を下請事業者に交付しなければならない。
確定後にもかかわらず、仕様内容を口頭のみで伝える行為は、書面交付義務違反として下請法に抵触する。 - 他の選択肢との比較
・支払条件や期日をあらかじめ書面で定め、個別の発注書に省略する行為は、継続取引の中で合理的な運用と見なされ、違反とはならない。
・仕様変更に伴う費用の加算を事前に協議し、下請代金に反映する対応は、両者の合意に基づく適正な取引であり、問題はない。
・振込手数料を下請事業者が負担することに事前合意があり、実費分を控除する場合も、下請法上認められている範囲である。
したがって、仕様が確定したにもかかわらず、それを記載した書面を交付せずに口頭で伝える行為は、下請法の規定に反する禁止行為に該当する。